2026年1月、TOKYO PROTOTYPE展にI.CEBERGが参加。この一連の記事ではMAISONそれぞれの作品をご紹介。イベントの詳細はこちら

作品概要

街を歩き、風景のコラージュを続ける中で、目の前の景色に対して抽象的なイメージが浮かぶようになった。そのイメージを立体化し、写真から染み出したように造形することで、風景を物理的に自立させる。具象と抽象、2Dと3Dの境界にある階調を間接的に描く。

彷徨うメディアの境界

2024年5月頃から、街歩きで撮影したスナップ写真と3Dを組み合わせたコラージュ制作を始めた。3D、写真、グラフィックはこれまで個別に扱ってきた手法だが、それらを並列に扱い、どこまで境界を曖昧にできるのかを試してみたいと思ったのがきっかけだった。

偶然目に留まったものや気になったものを「メモ」のように撮影し、後から見返してコラージュする。完成イメージをしないままレイアウトしていき、元の風景・場所・色味などを頭の中で繋ぎ合わせながら一枚の絵にしていくというワークフロー。

「風景と破綻」「メディアと境界」というテーマは、もう少し遡ると2020年に制作したAR作品「EVERYDAY」からつながっている。実風景に、日常から少し逸脱した3D表現を重ねて鑑賞できるARモーショングラフィックで、当時はコロナ禍のリアルイベント中止によるAR/VRコンテンツ盛り上がりの時期でもあり、自身もAR表現に取り組んでみた。

実際に制作してみると、ディスプレイを介したAR体験は、現実が拡張されているというよりも、鑑賞者側の想像力や参加姿勢に大きく依存しているなという感覚が残った。現実に何かが「起きていると思い込む努力」を求められる構造に少し物足りなさを感じた。もっとシームレスに拡張される体験ができないだろうか、とバーチャルと現実の境界を彷徨い始めるきっかけとなった。

また、2023年に香港の尖沙咀で展示した「Urban Reflection」では、香港の風景から連想したビジュアルを短冊状のLEDと鏡によって細切れにし、空間内に配置した。一度完成させた映像をスクリーン上ではなく、空間そのものの中で再構成するような試みである。スクリーンでもVR/ARでもない別のアプローチによって作品の周りを回遊しながら没入感を作れないだろうか、と思い制作した。

風景の連想ゲーム

2025年9月、玉川S.C.で行った屋外LEDへの映像投影では、風景に対し浮かび上がる色やフォルムを重ねる手法を試みた。風景を見ていると、勝手に別の形や意味が重なって見えてくることがある。いわば連想ゲームのような感覚だが、「わかる」と「わからない」のあいだに存在するグラデーションを彷徨う事と、発見した瞬間の感覚と時差そのものを、視覚として共有できたら面白いのではないかと感じた。

FRAME

この延長として、写真に対して同様の連想を重ねるコラージュを試してみた。街歩きの中で撮り溜めた何気ない風景写真に対して、思い浮かんだ形を3Dで立ち上げ、板ポリの写真から生やすように配置していく。スケッチの延長のようでもあり、額縁を付け足している感覚にも近く、あるいは風景に絵の具で描き足しているようにも感じられた。

「FRAME」は、その連想コラージュをさらに実体化した実験作である。写真はアクリル板にUVプリントし、「リアル板ポリ」としてFLAT LABに依頼して制作。オブジェクトは3Dプリンタで出力されている。

構造物はフレームであると同時に、写真を支える支持体として機能し、作品全体が自立している。写真の選択と造形の発想が同時に立ち上がる「編集の瞬間」を、画面上の合成ではなく、空間の中で成立する現象として残せるのではないか。

この制作では、「どの風景を選ぶか」と、そこに「どんな形が現れるか」という判断が分けられず、ひとつの思考として同時に起きている。「FRAME」は、その編集が発生した瞬間を、風景の上に思考の痕跡として上描きする試みでもある。

今回、写真サイズの違いによってA4サイズとA0サイズの二種を制作した。A4サイズは樹脂による3Dプリンタ出力、A0の大型サイズは発泡スチロールの3軸切削によって制作している。サイズに応じて異なる出力方法を採用し、制作協力として前田技研木村鋳造所に依頼した。

仕上げ、質感など、まだまだ「絵作り」として試行の必要性を感じる。Redshiftのパラメータをスライドするように簡単にはいかない。そして、毎度CG上でシミュレーションしたものを現実に出力すると大きさ・フォルム・ディティールのイメージが多少ズレる。作業画面だとどうしても1つの作業カメラを通して見ているような感覚で、実物と対峙した時の身体感覚と異なったりする。最後に、出力した実物をカメラを通して覗くと作業時の印象と割と近しい、というのも不思議な感覚だった。

実物だけが「リアル」という訳では無いが、引き続き実物とバーチャルを行き来しながらズレも含めて試行錯誤を続けて行きたい。

Credit

Maison : Takafumi Matsunaga
Photo Print : FLATLABO
Resin 3D Print : MAEDA SHELL SERVICE
Styrofoam Cut & Fabrication : KIMURA FOUNDRY
Paint : TAKAHAMA TOSOU
Photographer : Yuya Shiokawa

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