2026年1月、TOKYO PROTOTYPE展にI.CEBERGが参加。この一連の記事ではMAISONそれぞれの作品をご紹介。イベントの詳細はこちら。

作品概要
目に見える美しさの奥底には、その地に根差し環境や他者とつながりながら、
たゆたう時間を生き続ける生命の脈動がある。
本作は、かつて大地に埋もれていた木の根を用いて、
生命の美しさの根幹にある命の熱量を表現した作品である。
根を包む衣服は、命を育む温かな土の象徴であり、
守られた根は生命の鼓動を思わせる光を放つ。
その柔らかな光は、やがて周囲を静かに照らし出していく。
Credit
Maison : Takuma Sasaki
Costume Designer : Koshiro Ebata
Stylist : DAN (kelemmi)
Lighting Plan & Design : Satoshi Yanagisawa (Triple Bottom Line)
Lighting System & Mechanical Design : Yoshihiro Hirata (R2)
Technical Support : Giichi Endo (NICHINAN GROUP)






Photo by Yuya Shiokawa
制作過程
【木の選定と加工】
まずはベースとなる木を用意した。この木は普段陽の光にさらされることがなく地中深くに眠っている根の部分である。目が詰まった非常に丈夫なスマトラ産の木の根だ。
表面が古い樹皮で覆われていたので、それを丁寧取り除き漆でコーティングしている。あえて塗りを一回塗りに留めることで、自然みのあるざらっとした感じを残しつつ、程よいテカり感をだしている。

【3Dスキャン】
用意した木を株式会社 日南に持ち込み3Dスキャンを実施した。このデータをもとにクリアな枝の設計へと移っていく。また、実物の木と全く同じ形状のものをデジタルで復元することにより、照明まわりの設計と衣装制作を同時に進めることができた。
プロトタイプ制作の最前線をひた走る日南の最先端の設備と職人たちの確かな技術の元、美しいクリアな枝が出力された。

正確なスキャンデータをもとに
3Dプリンターで出力していく。。

プリンターで出力できるサイズに限界がるため
分割して出力し、組み立てていく。

リアルな木とデータをもとに出力された木。
【衣装制作/R&D】
衣装デザインの方向性を探るためのR&D。ダウンジャケットのボリューム感をどうやって表現するのか。
しわ感をどうやって表現していくのかを検討。衣装をパーツごとにわけて制作していくことにした。また個々のパーツのベースとして、皮膚のようなパーツを3Dプリントすることに決めた。




【衣装デザイン】
R&Dを進めつつ、作品の最終的なビジュアルをCG上で検討していく。

皮膚パーツの境界を3Dモデルに直接書き込んでいく。

書き込んだ境界に面を貼っていく。

布の柔らかさ、伸縮率等のパラメータを調整し、ボリューム感がある服をデザインした。今後の実制作において指標となるビジュアルが完成した。
【衣装のベースとなるパーツデザイン&熱対策用のパーツ設計】
CG上でクリアな枝をどこから置き換えるかを検討。さらにLEDを仕込んだ時の光の漏れをコントロールするために遮光テープを張ることにした、その実際の見え方を再現。
さらに熱対策としてLEDと衣装が接触しないように、厚さ4.5㎜の皮膚パーツの嵩上げる用パーツを制作。その上に厚さ1.2㎜の皮膚パーツをのせている。
クリアな枝の中には無数の気泡を入れ込んだ。血管のように筋の感じるデザインにしている。

クリアな枝の置換位置と
遮光テープのシュミレーション

1.2㎜の皮膚パーツの制作。

皮膚パーツと嵩上げパーツの誤差を
限りなく少なるように設計

4.5㎜嵩上げパーツの設計。

LED周りは熱対策として空気に触れやすい設計

クリアな枝の中に光の影響を受けやすい素材で
気泡を注入している
【3Dプリント出力(皮膚パーツ&嵩上げパーツ)】
CGでモデリングした皮膚パーツと嵩上げパーツの出力。熱対策として難燃性のフィラメントを使用している。

皮膚パーツの出力

皮膚パーツはおよそ50パーツほどに。

ピタリとはまる嵩上げパーツ
【3Dプリント出力(枝)&木の加工】
スキャンデータをPC上で整えプリント出力している。サポート付きで出力後に研磨している。
その後、照明機構を取り付けるための処理を木に施し、接地箇所の余分な木を切断。
(日南)
【出力したクリア枝の取り付け&LED周りの機構取り付け】
日南にて出力されたクリア枝を木に取り付け照明機構の最終確認している様子。

【皮膚パーツ&嵩上げパーツの組み立て、照明機構のチェック&配線】
衣装を除くすべてのパーツが揃い、一気に組み立てていく。



【衣装の実制作】
最後に衣装制作に着手した。ダウンジャケットとしての見栄えを重点的に進め、ファスナーやボタンなどの小物を取り入れ木が服を着ているというコンセプトを実現している。





服は脱着できる仕様になってて、ファスナーを外すと洋服のように脱ぐことができる
【照明のプログラム制御】
5本の枝の光り方を個別にプログラム制御している。視線誘導を考慮し全体のバランスを見ながら一本ずつ光量を変えている。光るタイミング、光る時間もプログラムで制御しており、ランダムにゆったりとそれぞれが明滅し、あるタイミング5本が同時に力強く輝きだす。生命が呼吸しているかのように脈動している様子を演出している。


